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あすなろ日記

あすなろ日記

裏僕小説『贖い』

  
   裏切りは僕の名前を知っている「贖い」   



 漆黒の闇に沈む鎖で繋がれた少年
 
 永遠に逃れられない痛みと苦しみ

 薔薇の棘に彩られた白い身体は絶望の鎮魂歌を奏でる

 破滅へ導くのは神か悪魔か
 
 少年に悪魔が微笑みかける

 いにしえの昔より愛は裏切りを生む

 少年の瞳から流れる一雫の涙

 救いを求めた代償は後の世までも続く・・・


 「夕月。夕月。・・・」

 深い眠りから夕月は目を覚ました。

 「夕月、大丈夫か?うなされていたぞ。」

 ルカが心配そうに夕月を見つめていた。

 「怖い夢を見た。暗闇の中で鎖に繋がれて身動きがとれ

 ないんだ。でも、ルカの微笑みに僕は救われるような

 気がしたんだ。」

 「もう、いい。もう、何も言わなくていい。」

 ルカは夕月の瞳から溢れる涙をそっと指ですくった。

 「俺はお前のそばにずっといる。約束だ。」

 「うん。」

 夕月は静かに頷いた。ルカは夕月の顎に手をかけ上を

 向かせると、そっと口づけした。唇を重ねるだけの優しい

 口づけだった。

 「愛してる。」

 漆黒の闇に似たルカの瞳が穢れのない夕月の瞳を

 見据える。夕月は何故だか悲しくなって、目を閉じた。

 ルカの唇が再び夕月の唇に重なった。うっすらと開いた

 夕月の唇にルカの舌が入ってきた。舌と舌が絡み合う。

 ベッドに押し倒されて、夕月は少し焦った。

 「朝食の時間に遅れるよ。」

 「そんなもの気にするな。今は夕月が欲しい。」


 「あっ、やめ・・・て・・・あ、ああっ・・・」

 シルクのパジャマを捲し上げられて胸に舌を這わせられた。

 夕月は抵抗する素振りを見せたが、ルカはおかまいなしに

 夕月の身体を弄る。パジャマのズボンまで脱がされて、

 あらわになった下着に手をかけられた。

 「あ、ダメ。」

 夕月は脱がされそうになった下着を手で押さえた。

 「何でダメなんだ?」

 ルカが怪訝そうに聞く。

 「だって朝だよ。黄昏館のみんなに声が聞こえちゃうよ。」

 「かまわない。聞きたい奴には聞かせておけ。」

 ルカはそう言うと、下着を剥ぎ取った。そして、夕月の少し

 立ち上がりかけたものにキスをした。

 「ひゃっ。」

 夕月は自分の出した声に恥ずかしくなって、思わず、手の

 甲で口を押さえた。ルカが丁寧に舐めあげ、口に含むと、

 それはみるみる大きくなって、先端から蜜を洩らすほどに

 なった。ハアハアと肩で息をする夕月にルカは

 「先に1回イクか?」

 と聞いた。

 「あ~、いや、入れて。お願い。」

 夕月が濡れた瞳で懇願した。ルカが夕月の中に入ってきた。

 何の準備もしていないのに男を受け入れるのに慣れたそこは

 なんなくルカを受け入れた。ゆっくりと差し入れられたものに

 夕月の体内はねっとりと絡みつく。傷つけるのを恐れてじっと

 しているルカに夕月はじれったさを感じた。もっと深く繋がり

 たいとせがむように腰を浮かす夕月に応えるようにルカは腰を

 動かした。最初は相手を気遣うように優しく、そして、次第に

 強く突き動かすルカに夕月は淫らな声をあげてしがみつく。

 「あっ、ああ~、い、いい~、イク~」

 「一緒にいこう。」

 ルカが夕月に口づけした。甘く蕩けるような口づけと共に

 二人は絶頂を迎えた。

 朝食の時間はとっくに過ぎていたが、夕月はルカの腕に

 抱かれて先ほどまでの快楽の余韻に浸っていた。どんな

 痛みでもどんな苦しみでもルカがいれば乗り越えられる。

 運命を呪う前に二人で生きていこう。人々を救う使命は

 愛ゆえの贖いだとしても・・・ 

 夕月は裏切りの印にそっと口づけをした。

                          (完)





   裏切りは僕の名前を知っている小説挿絵






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